田町のマンション計画では、図面をじっくり眺めた結果、ある一つの問題点を発見した。マンションに接する公道が幅員五メートルしかない一方通行路であることだ。この道は私の事務所の入ったビルの前にもつながっているのだが、三五階の高層マンションが建つとなれば、入居者の車がかなりの数、この一方通行路に入ってくることになる。計画図面では、マンションの前だけ業者が敷地を提供して道路を拡張して幅員を六メートルにすることになっていたが、この部分だけ一方通行を解除しても、国道につながる出口部分は狭いままなのである。
[参考]
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そこで私は「何百という世帯が高層マンションに入居し、そのうちかなりの数の所有者が自家用車を地下車庫に入れるとすれば、一方通行路は大渋滞が日常茶飯事となる。従ってマンション計画には反対する」こうした趣旨の意見書を書き、私は公聴会の公述人になりたい旨を申し出た。公述人にならないと、公聴会の当日、飛び込みで意見を述べることはできない。公聴は、行政の前できちんとした意思表示ができる場なので、大事にしたい。公述人となるには、行政の窓口(この場合、東京都建築指導課)に、発言の趣旨と住所、氏名を書いた所定の申し込み用紙を郵送もしくは持参する必要がある。ただし、これには期限が設けられているので、これを忘れないようにしたい。ただ、申し込めば、必ず公述させてもらえる仕組みだ。公聴会に出てみると、町内会長も「反対」の立場で意見を陳述するために来ており、町内会そのものとして建設に反対していく意向であることが確認できた(公述人になる前の段階では、私一人の運動だった)。出席した公述人は、地域が発展するとして事業に賛成する者一名、反対する者一〇名という内訳であったため、公聴会のあと、私は反対派の10人と連絡を取り合い、二〇〇三年七月、「芝四丁目開発計画を考える会」を公述人の手で結成することができた。つまり、反対する住民が初めて出会う場を、公聴会が提供してくれたことになる(余談ながら、傍聴人は、都の職員・住民ら二〇人ほどだったが、公聴会のあと、このうち数人に連絡先を聞き、「芝四丁目開発計画を考える会」に参加するよう誘った)。