私は以前から、「手すり内法で七五センチを要求する必要はない。たぶん七〇センチあればふつうの利用には十分だし、その条件のもとで安全のための手すりもつけられる」と、実験結果を根拠に主張しており、結局はそうした見解が通ったというわけである。今回、通達が作成される段階では、私はまったく相談にあずかっていない。こうしたことはわが国ではごく当たり前なのだが、数年経てば建設省は問合せに対して決定の根拠を答えられなくなるだろうと懸念している。わが国では規定の見直しは定期的にはなされず、何か起こったときにのみ行われるのだが、そのときには判断根拠資料はすべて雲散霧消している可能性が高いからだ。判断根拠が不明になったものを変更するのは、判断根拠が明示されているのとくらべると格段にむずかしい。もっとも、今回の場合はよりいっそうの緩和を必要とすることはあり得ないから、まだしもだが。もちろん、具体的な根拠もなく、つじつま合わせのために規定を見直すことが論外なのは、いうまでもない。
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