ある種の業界においては、企業規模と収益性には比較的はっきりした相関関係があることが知られている。たとえば、国内銀行業界の場合、縦軸に利益率(経常利益率)、横軸に企業規模(使用総資本)をとって各企業をプロットすると、ある程度の水準までは企業規模が大きくなるほど利益率が高いのに対し、その水準を超えると利益率が悪化し、さらに次の水準に達すると再び利益率が上昇するという傾向が見られる。これらのプロットを結んだ近似ラインは、フライフィッシングでフライ(疑似餌)を投げるときの釣り糸の描くカーブに似ているために、「フライフィッシング・カーブ」と呼ばれている。
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売上高四〇〇〇億〜六〇〇〇億円規模の建設会社の収益性は相対的に低い建設業界においても、企業規模と収益性の間には何らかの関係性が見出せないであろうか。建設会社の企業規模を売上高で区分し、それぞれの収益性を利益率として分析すると、非常に緩やかではあるものの「フライフィッシング・カーブ」を確認することができる。つまり、中堅(売上高一〇〇〇億上一〇〇〇億円)から準大手B(売上高二〇〇〇億〜四〇〇〇億円)にかけて、若干利益率が向上し、準大手A(売上高四〇〇〇億〜六〇〇〇億円)になると利益率が低下し、大手(売上高一兆円以上)になると再び利益率が向上する。建設会社の場合、たとえ売上高が同じでも建築と上木の比率によって利益率は異なるし、大型プロジェクトの収益が悪化した場合のインパクトが大きいことから、個別企業をプロットしても「フライフィッシング・カーブ」を確認することは難しいが、売上規模別に見ると一定の傾向が見出せると考える。明確な「フライフィッシング・カーブ」ではないものの、そもそもの建設会社の利益率が低いことを踏まえれば、一定の傾向があるといってもよいのではないだろうか。